「漢字が出来ているパーツ(部品)」のことを「部首(ぶしゅ)」と言い、「へん」「つくり」「かんむり」「あし」「かまえ」「たれ」「にょう」「したごころ」「したごろも」「れっか/れんが」など、さまざまな種類があり、それぞれに意味や由来があります。

先ずは、「へん」の代表格の「にんべん」を考えてみましょう。

「にんべん」は最初の漢字とも言われており、人を横から見て一画目は「腕(うで)」で二画目の縦棒は「体(からだ)」の象形文字から来ていると言われています。この二つのパーツに本来のっている筈の「頭」に当たるパーツは省略されています。つまり、「うで」と「からだ」から、「あたま」は想像して考えなさい、と言っていることになります。

意味から考えると、もちろん「人(ひと)」に関係がある漢字を作ります。

例えば、「にんべん」に漢字の「二」を組み合わせると「仁(じん)」となり、人が二人いればお互い仲良くしなければなりませんから、意味は「親しみや慈しみ(いつくしみ)」が原義で、ここから発して「相手を思いやる気持ち」や「わがままを押えて礼(れい)すなわち社会的規範に従うこと」となります。

もう少し易しい例では、「休(きゅう)」があります。これは人が木に寄りかかって休む形から成り立った漢字です。

「部首(ぶしゅ)」の二番目は「つくり」です。

上の「仁」の字で言えば「二」の部分、そして「休」で言えば「木」が作りです。「組」の字の右側の「且」、「時」の字の「寺」、「語」の字の右側の「吾」がそれぞれの「つくり」となります。

ここで「語」という漢字を分解すると「へん」の「ごんべん」と「つくり」の「吾」から出来ており、さらに、「吾」の上部の「五」と下部の「口」から出来ています。

つまり、「言」+「五」+「口」の三つのパーツで成り立っている事から、五つの口が言葉を発すれば様々な言語になるという意味が生じます。

書き順の観点からも、やはり、「上から下へ」「左から右へ」「横から縦へ」という原則に従って書けばよいですし、一つの漢字を三つのパーツに分解して覚える方が明らかに簡単です。

もうひとつやってみましょうか。

一億人の「億」はどのようなパーツで成り立っているでしょうか。言うまでもなく「にんべ

ん」と「つくり」は「音」の字と「したごころ(部首名)」の三つのパートで出来ていますね。さらに音を分けて考えれば上部の「立」と下部の「日」に分けられますから、四つのパ ーツから出来ているとも言えます。

意味的には、「一万の一万倍で一億」だという数の意味はずっと後世の後付けで、当初は「人が音を聞いて何の音かと心に思う」ことから発して、「人がいろいろと考え、思いをめぐらすこと」という意味合いに至ったのだと言われています。

「億」という大きな数は、実感しようとすると、「人がいろいろと考え、思いをめぐらす」必要があるほど大きく深い数ですよね。

付言しますと、「億る」と書いて「おしはかる」という読みになり、意味は「推し量る」「推し測る」と同じです。

さてはて、部首は全部で214もありますから、いちいち覚える必要は全くありません。大切なのは、画数の多い複雑そうに見える漢字もパーツ、つまり「部首」に分ければ書き順が分かるので覚えやすく、分解するだけで意味が伝わってくる漢字が少なくない事です。

逆に知らない漢字を調べ意味が分かったら、その意味をパーツ(部首)に当てはめてみることで、それぞれの部首の意味が浮かび上がって来るという場合もあるのです。

部首は意味に通じるのです。

サイトアイコン

次回は、作文の基礎に通じる話になります。

つづく

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です